宮沢賢治、って聞いただけで胸の深いところが青く澄んで
ノスタルジィに入って行く‥みたいな感じってない?僕はそう。
ところが実際には彼の作品のほとんどが未完、未出版で、
読んでみてもよくわかんないものも多い…。
ところがこの芝居の原作である「グスコーブドリの伝記」だけは
僕にとって異彩を放つ。いつも読むと泣いてしまう。そして苦しい。
なぜか?今、僕らが生きている時代、起こっていることと恐ろしくリンクしてる上に、
「どうやって生きて行きたいんだ?」
「おまえは家族や隣人のために何ができる?」
ってえらく根源的な問いを突きつけられてる気がするからだ。
こんな良い作品は芝居にする必要なんてない、黙って原作を読めば良い。
でもね、ぼくらがお客さんに見せたいのは、人形を使った原作の説明じゃない。
ゆめみトランクがなぜ今これを舞台化するかっていう動機そのものなんだ。
裸のドラマツルグ、というわけです。 沢則行