ひきがえるのウォートンは、トゥーリャおばさんにおいしい砂糖菓子を持っていく途中、みみずくに捕まってしまいます。
「誕生日のごちそうにする」と言われてウォートンは絶体絶命!
なんとかみみずくの家から逃げだそうとするのですが…。
「かえる」や「みみずく」「ねずみ」たちが活躍するこの作品は人形劇にピッタリ。
小さなねずみがちょこちょこ動く愛らしさ、みみずくが羽根を広げたときの迫力!
子どもたちをたちまち物語の世界に招き入れるでしょう。
チェロの音色は時に暖かく時に激しく、私たちの感性をゆさぶります。
電子音ではない、本物の音にふれて下さい。
音楽もそうですが、美術的にも素材・色合い・登場人物が着ている服など、なんとなく懐かしく暖かい感じがきっと伝わってくることでしょう。
それは私たち劇団から子ども達への隠れたメッセージでもあります。
演出家より
『火よう日のごちそうはひきがえる』は、冬の真っ最中におばさんの家までお菓子を届けに行こうと思い立つような、ちょっと迷惑なほどの行動力をもったひきがえるのウォートンのお話です。
雪の中を精一杯の厚着をしてスキーにのっていくウォートンの様子は、おかしくもありかわいくもあります。
そんなウォートンが、みみずくの火よう日のごちそうにと捕まってしまうのですが、ここでもその行動力がみみずくを惑わせたりします。
一緒にいる間ぐらいは気持ち良く暮らしたいというウォートンの、生きる事を諦めないひたむきさが、自分の名前さえあったのかどうか忘れてしまったみみずくの暮らしを、微妙に変化させていきます。
携帯電話やメールやインターネットなどで便利になった分だけ、実際にふれあうことが少なくなったこの時代に、食べられるかもしれないという緊張感の中でお茶を飲みながら話す、みみずくとひきがえるの何気ない会話の中から生まれてくる不思議なふれあいや、理屈では言えないような思いが、観る人のあたたかな本当のごちそうになれるようにと思っています。